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ウィリー・カバジェロ独占インタビューvol.2 『メンタルの重要性』

今季41歳という年齢を迎えながらも世界のトップレベルで活躍するGKがいる。
元アルゼンチン代表のウィルフレード・カバジェロだ。

カバジェロは母国の名門ボカ・ジュニアーズでデビューすると、すぐに活躍の場をヨーロッパに移し、スペインのラ・リーガ、イングランドのプレミアリーグでプレーした。
マンチェスター・シティやチェルシーと言ったビッグクラブを渡り歩き、2021年の後半からはサウサンプトンでプレーしている。

彼の持ち味は、経験からくる予測やポジショニングの良さ、落ち着き、冷静にピッチ立って味方をコーチングできる点にある。
経験豊富な彼をゴールマウスに置いておくことは、チームにとってかなり心強いだろう。

そんなウィルフレード・カバジェロにメディアコネクトが独占インタビューを行い、自身のキャリアやGKというポジションにとって大切なこと、などについて語っていただいた。

今回は、全2回にわたるインタビューの最終話になります。

【カバジェロのプレー集】

生年月日:1981年9月28日(40歳)
出身地:アルゼンチ/サンタ・エレナ
身長:186cm
体重:80kg
在籍チーム:サウザンプトン
ポジション:GK
背番号:13
利き足:右足
経歴:2001-2004 ボカ・ジュニアーズ/2004-2011 エルチェ/2006 アルセナル(ローン)/2011-2014マラガ /2014-2017 マンチェスター・シティ /2017-2021チェルシー/2021- サウサンプトン

▶▶vol.1 『試合に出続けることの重要性』


–GKの役割に大きな変化がありましたよね。より足元でのプレーに参加する必要が出てきました。この変化は困難でしたか?

そうだね。GKもプレーに参加するようになったことは、すごく驚いた。しかし、これは当然の流れだよね。全てのGKがこのように考えるべきなんじゃないかな。
この変化を怖がったりストレスに感じるんじゃなくて、よりゲームに参加できる選択肢が増えたと考えるべきだよ。ただゴールマウスを守るだけではなくて、攻撃陣に良いパスをしたりと、多くの選択肢を持ってプレーできるからね。
素晴らしいことだよね。指導者も選手にそう教えているよ。今の若い選手は、柔軟に対応していくと思うよ。

–若い選手に「すべきでないこと」「避けるべきこと」といったアドバイスはありますか?友達や家族からのプレッシャーやチーム、代理人からの圧力などもありますよね。

うーん。プロ選手である限り、そういった事はつきものなんじゃない?良い友達を選ぶこと、良い人と一緒に過ごすことは、選手の助けになるね。
サッカーには、かなりのプレッシャーがあるから。良い時でも悪い時でも、自分の置かれている状況を把握することが大切だよ。
プレッシャーはたくさんあるけど、識者と一緒にいることができれば、アドバイスをくれるはずだよ。そういったことが、良い選択をする助けになるんだ。

練習のためにさまざまなことを犠牲にすると思います。練習とプライベートのバランスはどのようにして保てば良いのでしょうか?それぞれの選手には習慣があるよね。
個人の習慣を強制的に変える事はできない。僕もそうだったけど、選手はキャリアの中でいろいろと気づくことがあるんだ。
若い選手に言えるのは、練習を続けることだね。これは選手として必ず続けないといけないんだ。

現在の僕はキャリアの終盤だけど、習慣は強制的に変える事はできないということが身に染みて分かったよ。真面目に練習してほしいとは思うね。
自制心を持つことはあらゆるスポーツの基礎となるから。練習をしっかりした後に、趣味やリフレッシュをすればいいのさ。たまには気分転換も必要だからね。

僕たちGKは、他のスポーツを試してみることも必要だと思う。
サッカー以外のスポーツから学べるものがたくさんあるね。特にGKは多いと思うよ。

–GKはGKコーチのみから学ぶのでしょうか?それともグアルディオラ監督のような戦術家からも学ぶことがあるのでしょうか?

もちろん。GKコーチは経験豊富なプロフェッショナルだ。彼らは僕らをサポートしてくれる。直接教えてくれる先生みたいなものかな。
監督は僕らをチームの一員として、戦術を考える。ポジショニングとか、どこにパスを出すべきかとかね。
誰からでも学ぶ事はあるよ。

–例えば、ペップ(グアルディオラ)からは、何を学びましたか?

ペップからは「相手を待つこと」「急いでプレーしない」ことを教えられたよ。
ラインを見てフリーなスペースを見つけること、相手のプレスに合わせて攻め方を変えることとかかな。
これまでのキャリアで出会った全ての監督から、学ぶことがあったよ。

–あなたは40歳の今でも現役でプレーしています。この年齢まで長くプレーする秘訣はなんでしょう?特別な練習や食事法がありますか?

まずは、情熱が大切さ。プレーすること、仲間と過ごすこと、これらは自分に活力を与えてくれる。
今は所属クラブがないけど、練習できる環境があることに感謝しているよ。(撮影時は2021年チェルシー退団直後)
だからまだ情熱は冷めないんだ。

食事には気を使うけど、特別こだわりがあるってタイプではないかな。
休息には気を使うね。30歳を過ぎスポーツ選手には、今までよりも多くの休息が必要になるんだ。だから僕は、睡眠を良く取るようにしているね。

それと他には、いろいろなエクササイズを試している。ヨガとかピラティスとか、ジムでできるエクササイズをね。
毎週末、コンディションの良い状態で試合を迎えるために大切なことさ。

–反射神経や俊敏性を養うために、どのようなトレーニングをしているのですか?

GKコーチと、反射神経向上のトレーニングをしているよ。所属クラブやリーグによって練習方法は大きく異なる。
選手は、クラブのトレーニングに順応していく必要があるんだ。

年齢を重ねるごとに、リカバリーに費やす時間は増えるからね。僕は年齢的に、筋力アップよりも筋力を維持することを優先している。
GKに必要な身体作りはジムでのトレーニングが欠かせないね。

100kgのバーベルを持ち上げる身体は、試合で求められない。
だから、試合で実際に使える筋力をつける必要があるんだ。それには自分に合った専門のジムトレーナーを見つけなくてはいけないね。

–メンタルはどのようにトレーニングしますか?GKは警察のようなポジションですよね。試合の95%は出番がありません。ですが、残り5%の出番はとても重要です。

そうだね。メンタルはとても重要だ。僕は、心理学のセッションを受けているよ。僕の妹が心理学者であり、ニューロサイエンティストなんだ。
心理学者たちと一緒になって、自分の中に抱えている問題やプレッシャーを解決していくんだ。
メンタルトレーニングは、自身が持っている偏見などを乗り越えるのにとてもいいんだ。皆に勧めたいよ。

▼インタビュー動画はこちら▼

End(お読みいただきありがとうございました。完 )

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