–まだ君が今よりも若かった頃、選手として成長する中での最大の挑戦はなんだった?そして一番辛かった出来事はなに?
一番辛かったことは、試合に出られなかった時、僕に関するあまりよくない評価を見たり聞いたりしていた時かな。その時は、監督にも好かれていないのではと感じていたんだ。
当時のことは一つの試練だったと思う。でもそのおかげで、選手として人間として、より強くなることができたと思う。
–今君が話したように、物事が上手くいっていない時とか、監督からチャンスがもらえない時、サッカー少年たちに何かアドバイスできる? 現実とどう向き合う?「僕は本当にできるのか、それともダメなのか?」と落ち込まないような。
上手くいくかどうかは、置かれている環境・状況によって左右されると思う。
でも、どんな時でも自分自身を信じることが大事だよ。上手くいかない時は、周囲の意見を聞き「それも一理あるかもな」って思ってしまいがちな時もあるけど。
僕の中ではいつだって「いやいや、僕は絶対に成し遂げるんだ。この状況と戦い、克服するんだ」と考えるようにしていた。いつか必ず、自分が思うように全てが上手くいく時が来る、と信じていた。
それが一番大事なことだね。自分自身を信じ、自信を持つことが。
–メンタルは重要? チームにメンタルケアの専門家がいることは重要なこと? サッカー選手を取り巻く環境は複雑だよね。信用できない連中もいると思う。だけど、メンタルの専門家には全てを打ち明けられるでしょ?
その通りだね。メンタルというのは、サッカー選手に限ったことではなく、あらえるアスリートにとって、大きなことを成し遂げたり、目標や夢を達成する上で非常に重要なことだと思う。メンタルは最も重要な部分なんだ。
たとえばパス一つ出すにしても、メンタルが安定していれば、90%の精度で出すことができると思う。
–メンタルケアのコーチとはどんなセッションをしてるの? ポジティブな思考と言っても、いつもポジティブでいなければならないとしたら、現実を見誤ることもあるよね?
そうだね。彼とは様々な方法でセッションしているよ。集中力を高めるとか、紙を使ってとか。それら全てが自分の弱点を改善していくためのものなんだ。
たとえば、ある試合で良いプレーができなかったとしたら、なぜできなかったかについて話し合うよ。それによって常に気持ちの安定を得ることができる。ドイツ人のようなメンタルだね。
そうすることが、次の試合で良いパフォーマンスをするのに役に立つんだ。
–勝っても負けても感情的になり過ぎないことだよね? このことをサッカー少年たちに伝えたい?
まさにそうだね。少しでいいから“ドイツ人のようなメンタリティ”を持つこと。
たとえば「うまくいかなかった。だからといって僕が最悪だっていうことじゃない」という風にね。もちろん、上手くいった時でも「僕が最高だというわけじゃない」と考えることだね。
それが次の試合でも発揮できなければならないし、それが一番重要なことだからね。
–ボカでプレーしたことはどんな経験だった? 若い選手から見て、チームの中から見たボカはどうだった?
僕にとっては夢が叶ったし、人生で最高の出来事だったよ。ボカのユニフォームを着て、デビューすることを夢見て育ってきたからね。
実際にデビュー戦、ボカのユニフォームを着てラ・ボンボネラのスタジアムに入ると、プレーをするたびに拍手が湧き、いいプレーをしたら大喝采を受けた。それは本当に信じられないような経験だった。
その時の思い出は一生僕の心に残るだろうね。いつの日か、もう一度あの感動を味わえたらいいね。
–観客が選手を奮い立たせてくれるよね。選手を後押ししてくれる。
そうだね。その通りだ。うまくいっていない時、サポーターはチャント(=応援歌)を歌い始める。ホームという地の利を生かし大声でチャントをすれば、相手チームはナーバスになる。
そして、それは僕ら選手にとって大きなアドバンテージになるんだ。本当に素晴らしかったよ。
–ボカの選手になると誰もが驚くことだけど、サポーターからのプレッシャーがとてつもないんじゃないの?やっぱりプレッシャーはある?
それはもちろん、プレッシャーはあるよ。アルゼンチンに限らず、世界中どこへ行ってもボカサポータ-はいる。ボカのユニフォームを持っているとか、ボカのことを知っているとかね。誰もがなんらかの形で、ボカのことを知っているんだ。
それが、ボカというクラブなんだ。世界的に知られているビッグクラブだからね。
–キャリアの中で「僕はこれでやっていける。プロになれる。夢をかなえられる」と思うキッカケになった転換期はいつだった? あるいは「僕にはたぶん無理だ」と思っていた時期もあった?「僕には運がない」みたいな理由で。
そうだね。たしかに、キャリアの分岐点においては、多少の運も必要だ。
控えに甘んじていた時でも「僕ならできる」って思うようにしていたし、初めての親善試合でも「できる。僕にはできる」って言い聞かせていた。
でも時間が経つにつれて、チームに馴染んできていると感じたし、少しすると週末の試合に出られるようになって、気分も上がっていったよ。
そこから、多くのことでチームに貢献できるようになった。
To Be Continued…(vol.2の投稿は3/13(日)予定)
▼インタビュー動画はこちら▼