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元女子プロテニス杉山愛選手の母 杉山芙沙子:インタビューvol.2「"This is my life"今が最高」

テニスのグランドスラム女子ダブルスで3度の優勝を果たした杉山愛さん。その偉大な記録は未だ日本人には破られていません。彼女の活躍の影には母であり、コーチであった杉山芙沙子さんの存在がありました。芙沙子さんは現在、自身が開発された「スマイルシップスポーツ」を通して、子供、保護者そして指導者の「生きる力=人間力」を高めていく【スポーツ共育】を実践・啓蒙しています。一流選手のコーチだった彼女が、なぜこのような活動を行うようになったのか、インタビューを通して芙沙子さんのコネクトに迫っていきます。

医学博士、一般社団法人次世代SMILE協会 代表理事、パーム・インターナショナル・テニス・アカデミー 校長、渋谷スポーツ共育プラザ&ラボ すぽっと 代表、東京大学先端科学技術研究センター人間支援工学分野特任研究員
聖心女子大学文学部心理学科卒業。早稲田大学大学院スポーツ科学研究科修了。順天堂大学大学院医学研究科修了。元プロテニスプレーヤー杉山愛の母でありコーチ。子育てやコーチとしての経験、そして学術的研究より導き出した幼児教育メソッドを講演や人材育成プログラムを通して伝え、次世代を担う子供たちとそのアントラージュの共育に尽力している。

ポジティブな言葉で育てる「人間力」

――現在取り組まれている「スマイルシップスポーツ」を利用した【スポーツ共育】とは、どういうものですか?

スポーツを通して、身体体力、精神体力、知的体力という3つの体力を養うことによって「生きる力=人間力」を高めるというものです。これは、子供だけでなく保護者や指導者も共に成長するメソッドです。
【スポーツ共育】のキーワードは楽しむことです。「スマイルシップスポーツ」では、How to(やり方や方法)をただ教えるのではなく、どうすればできるのかを子供たち自身が考え、それを自分の言葉で伝え、楽しみながら学び成長することをサポートしています。他の習い事やスクールに行きたがらなくても、私たちのところに楽しみに来てくれる子供もいます。子供たち自身が、楽しいことを一番わかってくれているのです。
そして、子供たちをサポートする指導者や保護者も、どうすれば子供たちの人間力を高めることができるか、子供の良い部分を見つけて伸ばしていくためにはどうしたらよいのかを、考え、学んでいきます。楽しいツールであるスポーツを通して、子供と共に保護者や指導者も学び成長していくのです。

――【スポーツ共育】で大切にしていることは、どんなことですか?

スポーツを通じて子供たちの良いところを発見し、それを伝えることです。かけっこは遅いけど、お友達を応援する力がある子や、コツコツ毎日続ける力がある子もいます。保護者や指導者に対しても、運動スキルや競技スキルだけでない子供の良いところを見つけて、それを本人に伝えてもらうようにしています。小さい子供にとって近い人や親しい人の言葉は特に影響力が大きく、一番褒められたいと思っています。その保護者や指導者が子供の得意なところを見つけ「あなたってこんなすごいところがあるのね!」と伝えるだけで、子供は自信がつき自己肯定力が高くなるのです。そうすると「もっと、もっと」と子供自身が自主的に気づき、行動することで、心も身体も成長し、そして楽しくなる、すべてがつながっています。

――一流選手のコーチをしていた芙沙子さんが、「スマイルシップスポーツ」を開発されるきっかけはなんですか?

愛のコーチを終え日本に帰国したあと、宮里藍選手や錦織圭選手、石川遼選手の人柄を見て、トップアスリートが世界で活躍できるのは、スキルだけでなく人間力が大きいということを実感しました。愛も含め、トップアスリートの持つ人間力が、世界で活躍する舞台に押し上げてくれているのだと思いました。だからこそ、世界で活躍できる選手になるためには、スキルと人間力を掛け合わせることが必要なのだと考えました。
そして、子供の人間力は最も多くの時間を共にしている保護者や指導者たちから大きな影響を受けるため、そのアントラージュ(取り巻きや環境)に対して、愛のコーチをした経験や、私が今まで学んできたことを活かして、アプローチをしたいと思いました。

原動力のトリガーは好奇心

――学び続ける芙沙子さんですが、その原動力はどこからきていると思いますか?

好奇心からスタートしているのだと思います。とにかく気になるから勉強して、学べば学ぶほどまた新しい興味が生まれてきて、その繰り返しなのです。そして私の想いに共感してくれる仲間がいるので、頑張れるのだと思います。

――最後に、芙沙子さんの行動指針を決める決断力の秘訣を教えてください。

私がどんな困難な状況であっても、自分の中で必ず落とし込む言葉は「This is my life」。急に愛のコーチを引き受けることになり、長期の海外生活も大変でしたし、家族も仕事もすべて置いて愛についていくことも大変でした。もちろんその時、自分の中で葛藤する部分もたくさんありましたが、いつもそのコトバを唱えてずっと歩んできました。
これは、妥協ではなく、私が自分を納得させるための魔法のコトバなのです。人から見たら大変なことだろうが、素晴らしいことだろうが、変なことであろうが、私がやると決めたんだから、その決断が私が選んだ私の人生なのです。だから、これが今の私の「This is my life」です。

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