――バレンシアに着いて、どういう暮らしをして、どうやって練習していたの?サーカスでのエピソードも聞いたけど。すごくいい話だよね。(父もサッカー選手だから)君にはすべてが用意されていたと言う人もいるけど、実際はそうじゃないよね。その話を聞かせてよ。
誰がそんな話をしたのか分かんないけど(笑)
サーカスじゃなくて、ゲームや輪投げがある、よくある移動遊園地さ。サッカーボールを蹴るゲームがあって、(勝って景品をもらうために)3回ゴールを入れなきゃならなかった。
僕たちはサッカーボールを持ってなかったから50セントだったか1ユーロだかを払って、このゲームで5個か6個か景品のサッカーボールを手に入れたんだ。露天のお兄さんが、「それ以上はダメだ」というまでね。
でも、もう5、6個ボールを手に入れてたから、練習するには十分だったよ。
――君はバレンシアでバレンシアCFのユースに入団し、苦労しながらその後イギリスに行くことになった。3部、4部クラブであるジリンガムに所属することになったけど、英語も話せずにイギリスに渡って初めに衝撃を受けたことは何?イギリス生活では何が一番辛かった?
イギリスに着いた時、クラブの人が僕を迎えにきてくれることになっていた。僕は高級な輸入車かなんかでクラブに連れて行ってもらえるものだと勝手に想像してたんだけど(笑)迎えに来てくれたのはジリンガムの用具係の人だった。
用具係の人は車の中でいろいろ話しかけてくれたけど何言っているのかあまり分からなかった。一番大変だったのは英語とイギリスの文化に馴染むことだった。
でも、さっきも言ったように、クラブは僕を温かく迎えてくれたよ。クラブには感謝している。最初から僕にオープンに温かく接してくれたからね。
――真ん中だけじゃなくいろんな方向からシュートは来るし、フォワードとはぶつかるし、まるでラグビーをしているような練習で怪我したんだよね?
覚えてるのは、練習が始まった最初の週、僕はテスト期間中だったんだけど、クロスだったか1対1だったか忘れたけど、誰かに肘打ちされて歯が欠けたんだ。
その時、これは大変だな。タフなところに来たなって思った。
――イングランドの洗礼ってやつだね。
まさに(笑)
――下部リーグはすごく大変なんだってね?水曜の夜に試合することもあるし、色んなところにアウェーの試合にいく。でも、それにサポーターもついていくんでしょ?イングランドのサポーターはすごくチームに忠誠心がある。どこのクラブのサポーターもね。違う?
ファンはすごく忠誠心があって、どこにいってもスタジアムはファンで満員だ。それがプレミアリーグでもEFLリーグ2でもね。イギリス人はサッカーに大きな情熱があるんだ。
――イギリス人の(サッカーへの情熱を持ってるという)噂を自分の目で確かめたわけだね。君は名も無い選手だったけど、自分の地位を固め、周りからも認められるようになった。サポーターからプレッシャーをかけられたり嫌なことを言われたことはなかった?
いいや、まったく逆だよ。いつも愛情を持って接してくれるし、我が家のように僕が心地よく感じられるよう配慮してくれた。
僕はまだ若くて故郷から遠いところから来ているってことを知ってるから、なおさら温かく接してくれた。
――人々がイギリス国歌を歌ったりするのを聞く時、どう思う?マルビナス諸島(※英名:フォークランド諸島。過去にイギリスとアルゼンチンの間でこの地を巡って領土争いがあった)の名を聞く時は?言い争ったりなんかしない?
何も問題無いよ。
うーん、どう説明したら分かってもらえるかな?サッカーとは別のことだよ。
――でも、(イギリスにいるアルゼンチン人にとって)ちょっと違和感があるんじゃない?
そうかもしれないけど、僕らアルゼンチン人だってチャントを歌うことはあるしね。
――君はプレミアリーグのサウサンプトンに移籍した。大きなクラブだし、伝統的に若い選手を育てると評判のクラブだ。
リーグ2からプレミアリーグに移ることは大きな飛躍だった。一つの夢が叶った。
前に話したとおり、小さな頃からプレミアリーグを見てたからね。
サウサンプトンのようなクラブでプレーするのが夢だった。
カンテラ(下部組織)が充実していて、若い選手たちをよくケアしてくれるし、下から上がってくる選手たちを大事にしている。
――その後、また大きな飛躍をした。前チームでの活躍が認められて、マウリシオ(ポッチェティーノ監督)がイングランドのビッグクラブの一つであるトッテナムに君を連れてきた。トッテナムはどんなクラブ?
ビッグクラブだよ。入団してすぐいろんなことが起こった。
メディアとかSNSとかの影響が半端ない。
世界中から注目されているんだ。これがビッグクラブなんだと実感したよ。
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To Be Continued…(vol.3は9/27(日)投稿予定)