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-多くの国、たとえばアジアの国などでは、キーパー専属コーチがいないところも多いです。そういうものは存在しない。つまり、彼らにはキーパー文化というのもがないのです。そのことは知っていましたか?別メニューの練習を取り入れたり、キーパー専属のスクールを採用するということは重要なことでしょうか?
そのことは知らなかった。
キーパー専属コーチがいかに重要かということは、どこでも認識されていると思っていたよ。
今では、1人のキーパーに5千、6千、7千万ユーロもの移籍金が発生することは普通のことだ。チームにとってキーパーは極めて存在価値が高い。
よいキーパーを獲得しようと思うなら、キーパーコーチが重要なキーになってくる。
-よいキーパーコーチに求められる資質はなんですか?よいキーパーコーチになるには何が必要ですか?キーパーから見てよいキーパーコーチとは?
調子が悪い日、試合や練習でうまく行かなかった時、選手にどういう練習をさせるか。真剣な顔で2時間みっちりトレーニングするのか、もっと長い時間をかけるのか。
ビラ(アストン・ビラ)のコーチは、試合に勝とうが負けようが、いつも笑顔を絶やさずに練習する。
でも、同時にその練習はすごくハードだ。
よいコーチに重要な資質は、選手たちをハッピーにさせることだ。そのためには、彼らを満足させるアイディアを常に持ち合わせる必要がある。
それが一番の資質だと思う。選手たちがハッピーと感じていれば、練習に身が入る。
結果としてトレーニングの質が上がるんだ。
-少年がプロになれるかどうかはどのように判断できますか?年齢は?どんなタイミングですか?
多くの人が、そのタイミングを12〜14歳ぐらいの年齢だと言う。それには僕も同調だ。
そのくらいの歳になれば、みんな自分がしたいことが十分にわかっていると思うからね。
僕が12歳か13歳の頃には、母親と祖母のために家を買ってあげたいって考えていたよ。
それが僕の夢だったし、彼らのためにそれを達成したいと思っていたよ。
僕には目標が必要だった。何かを達成したい、そのために何かになりたいというようなね。
だから僕は、自分に関心を抱いてくれるキーパーや少年たちにこう伝えたい。
もし君たちが本当に何かを達成したいと思うのなら、それはきっとかなうはずだ。
でもそのためには、夜遊びとかお酒、友達と踊りに行くことなんて考えないことだ。
夢の実現だけを24時間ずっと考え続け、努力し続けることだ。
-あなたは今、キャリア最高の時を迎えていると思いますが、これまで自分自身の能力に疑いを感じたたことはありますか?今まで何度あったのか、それはどこでなのか?イングランドでさまざまなクラブにレンタルに出された時ですか?
いろいろなことがあったよ。本当に理解できないようなこともね。僕よりもキャッチングが上手いキーパーのこととか。おまえがプレーできないのは、おまえよりもキャッチングが上手いキーパーがいるからだってね。
僕の持ち味のひとつは、掴んだボールをファンブルしないところなんだけどね。
それを理由に、僕が行きたくないクラブや一時だけ僕を欲しがったチームにレンタルされたり。
このような経験を糧にできたからこそ、僕はベストキーパーの1人になれたんだ。
-成功することはあなたの目標だったのですか?それとも毎日やってきたことの結果ですか?もしそれを目標としていたら、それは成し遂げられずに、くすぶっていたかもしれません。投げ出して別の道に行っていたかもしれませんよね。
そうだね、それは結果に過ぎない。
神様は自分が努力しただけのことを返してくれると思う。
僕は自分を向上させてきた。家族に恩返しができるよう、日々ハードワークを続けながらね。
それが、今でももっと勝ち続けたい、そしてもっといいチームに行きたいというモチベーションにつながっているんだ。
だから、今の僕にはまだ限界は見えていないよ。
-あなたに憧れている少年たちに何を伝えたいですか?あなたは長い間、世界で最も注目されているイングランドリーグでプレーしてきました。スポーツ界など社会における責任を背負っていると感じていますか?
そうだね。今、僕は彼らの手本になっていると思う。
アーセナルでタイトルを獲得した時と同様に、僕は少年たちのロールモデルなんだ。
みんなが僕の半生や、ここまで来るのにどれほど苦労したかを知っている。
プレー機会が回ってこない若い選手たちにとっても、僕はよい手本になるはずだ。
僕が困難をどう乗り越えたかというね。
-よいキーパーの定義はなんですか?理想のキーパーとは?
理想のキーパーというのはないと思っている。
でも、足元の技術があることは今の時代では必要な条件だ。
それと、強靭なメンタルを持つことも同じく必要だ。
そして、何ごとも恐れないことだね。
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End(お読みいただきありがとうございました。完 )